Mini-EUSO (Multiwavelength Imaging New Instrument for the Extreme Universe Space Observatory,極限宇宙天文台のための多波長観測装置)望遠鏡は地球からの紫外線背景光を観測できるように設計されています。望遠鏡は国際宇宙ステーションのズヴェズダモジュールの紫外線透過窓に取り付けられ夜の地球を見下ろします。
Mini-EUSO観測装置 (37cm × 37cm × 62 cm)は40度の視野を持つ広角望遠鏡で2枚の直径25cmのフレネルレンズを使った光学系を採用しています。光学系を通った紫外線は36本のマルチアノード型光電子増倍管を使った合計2304画素の光検出器(光検出モジュール、Photo-Detector-Module、PDM)へと焦点を結びます。光学系と光検出モジュールからなる望遠鏡の構造はMini-EUSO、EUSO-Balloon、EUSO-SPB1、EUSO-TAともに共通になっています。メイン検出器である光検出モジュールは紫外線検出器であり、横に取り付けられた2つのカメラにより可視光画像と近赤外線画像を同時に取得します。
Mini-EUSOの観測目的は、紫外線による夜の地球大気光の初めての高解像度全球マッピングを行うことを始めとして、超高層雷放電(Transient Luminous Events, TLE)のような大気発光現象、流星、隕石の研究、ストレンジクォーク物質(SQM)の探索、 超高エネルギー宇宙線の検出、乳白色の海(Milky sea)現象と呼ばれるような海洋生物蛍光の観測です。ストレンジクォーク物質は仮説上の物質の状態でクォーク星や中性子星の中心に存在すると予想され1種の太陽系外起源の流星として地球に飛来します。通常の流星に比べて移動速度が速く(秒速220km)、異なった発光スペクトルで大気中で長く光るので流星と区別をすることができます。さらにMini-EUSOはレーザーによるスペースデブリ除去技術の開発のための1つのステップとしての役割もあります。